特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」が開かれている東京国立博物館〔東京都台東区〕で〔2024年〕7月27日、神護寺〔京都市右京区〕の谷内弘照貫主(69)が記念講演を行い、展示中の寺宝の由来や展覧会の見どころについて語った。
神護寺は平安時代の824年、神願寺という寺院と、唐から帰朝した空海が一時活動拠点とした高雄山寺が一つになって創建された。谷内貫主は特別展で寺外初公開となった本尊「薬師如来立像」(国宝)について、「神願寺から伝わった」と自説を披露。空海が高雄山寺で灌頂(密教の入門儀式)を施した弟子の名を記した書「灌頂暦名」(国宝)については、「メモのようなものなので、書き損じを直しており、『弘法も筆の誤り』の例がここにもある」とユーモラスに語り、会場を和ませた。2016年から6年かけて行った「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」(国宝)の修理にも触れた。
講演には、これから同展を見ようという来場者ら約350人が集まった。東京都台東区の会社員、渡辺淳一さん(54)は「展覧会の見どころをおもしろく説明してくださり、見るのが楽しみになった」と話していた。
◆ 創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」
【会期】〔2024年〕9月8日(日)まで。月曜休館
※会期中、一部展示替えあり。【会場】東京国立博物館平成館(東京・上野公園)
【観覧料】一般2100円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下無料
【問い合わせ】050・5541・8600(ハローダイヤル)
(2024年8月17日付 読売新聞朝刊より)
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