2022.10.21
【皇室と日本美(上)】 雀の表情 光る観察眼(一関市博物館学芸係長・大衡彩織)
企画展「皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手」
皇室に代々受け継がれた美術工芸品をはじめ、皇室と岩手とのゆかりを伝える作品を集めた企画展「皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手」が、一関市博物館(岩手県一関市厳美町)で開かれています。見どころを3回にわたり紹介します。
1893年(明治26年)に帝室技芸員に任命された日本画界の重鎮、瀧和亭が手掛けた、華やかながらも、凜とした趣のある屏風です。右隻に描かれるのは、白い鸚鵡と雀、絢爛な牡丹の花と金盞花。そして左隻には、孔雀のつがいと燕、木瓜の花とタンポポ。いずれも和亭が得意としたモチーフです。
牡丹の花びらや孔雀の羽の深い色合いに目が奪われがちですが、見どころはあちらこちらに見られます。例えば右隻の雀です。蝶の羽を左右からくわえて引っぱる2羽と、その周りを囲む3羽のいきいきとしたポーズや表情からは、和亭の観察眼と腕の確かさがうかがえます。
展示では、和亭の弟子である一関出身の佐藤紫煙が所蔵していた、右隻の実物大下図も合わせてご覧いただけます。
(一関市博物館学芸係長・大衡彩織)
企画展「皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手」は一関市博物館 (一関市厳美町)で2022年11月27日まで開催中。問い合わせは同館(0191・29・3180)へ。