世界遺産・東寺(京都市南区)が所蔵し、真言宗最高の儀式「後七日御修法」で使われる重要文化財「木造観音菩薩・梵天・帝釈天立像(二間観音)」が、境内にある東寺宝物館で開催中の特別展「東寺と後七日御修法」で公開されている。
後七日御修法は毎年1月8~14日、東寺の灌頂院で営まれる法会。835年に真言宗の開祖・弘法大師空海が中心となり、平安京の宮中で国の安泰を祈る正月行事として始まった。前半7日間が神事で行われ、仏事は後半であることから「後七日」と名付けられた。
戦国時代は中断され、江戸初期に再開。1871年に廃止されたが、83年に東寺で復活した。1968年からは真言宗各派の総・大本山が合同で執り行う。
二間観音は3体とも高さ20センチ余りで、鎌倉後期の作。後七日御修法では観音を供養する1月12日の法会「観音供」で用いられる。その名は、観音供が宮中の清涼殿で行われていた時代に、二間と呼ばれる部屋に本尊として安置されていたことに由来する。
2019年に金箔を貼った衣の截金文様の浮き上がりを押さえるなど修理を施し、20年3月、宝物館で25年ぶりに公開した。コロナ禍による会期途中での休止を経て、今回は5月25日まで展示する。
新見康子・東寺文化財保護課長は「箔を細く切った非常に精巧な技法に注目してほしい」と話している。
(2022年4月3日付 読売新聞朝刊より)
二間観音の修理の様子はこちらから