京都ゆかりの国宝や京都に関係の深い皇室の名宝を紹介する特別展「京の国宝―守り伝える日本のたから―」(文化庁、日本芸術文化振興会、読売新聞社など主催)の報道発表会が22日、東京・霞が関の文部科学省で開かれた。
本展は4月28日から6月21日まで京都市京セラ美術館で開催される。文化庁、宮内庁、読売新聞社が官民連携で推進する「紡ぐプロジェクト」の一環で、東京五輪・パラリンピックに合わせて政府が展開する「日本博」の企画にも採択されている。
国宝37件を含め、絵画や彫刻、工芸品、書跡など計43件を披露する。空海ゆかりの京都・東寺が所蔵する国宝「木造梵天坐像」や、国宝「玳玻天目茶碗」(京都・相国寺蔵)などが見どころだ。
上皇后さまが育てられた蚕の絹糸を用いて修理した「春日権現験記絵」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)も出展される。文化財保護の重要性を伝えるため、修理材料の確保や技術継承の現状を映像などで紹介するほか、模写・模造品も展示する。
宮田亮平・文化庁長官はこの日の発表会で、「自然の美しさに触れて文化を育んできた京都を発信源に、広く世界の方々に日本の文化の宝を知っていただきたい」とあいさつした。
本展は、同美術館の改修・再オープン記念展となる。王朝文化や仏教美術が花開いた平安~鎌倉時代の名品を中心に披露する。
「日本博」と「紡ぐプロジェクト」は、国内外に日本美術の良さを発信する狙いがある。この日の報道発表会に出席した、老川祥一・読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理は、「五輪憲章は、スポーツと文化の融合を掲げる。この機会に、日本の文化財に対する様々な努力、関心の高さを広くお知らせしたい」と述べた。
出品作品のほとんどが国宝だ。国宝「紙本著色法然上人絵伝」(京都・知恩院蔵)は、浄土宗の開祖の行状を描いた名品。平安時代の藤原道長の日記、国宝「御堂関白記」(京都・陽明文庫蔵)は、世界最古の自筆日記で、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」に登録された。
鎌倉時代の仏師・湛慶が制作指揮した群像とされる国宝「木造二十八部衆立像」の1体「婆藪仙人」(京都・妙法院蔵)は迫真の造形だ。
また、山城(京都)を代表する刀工が作った国宝「太刀 銘久国」(文化庁蔵)なども注目される。
(2020年1月23日付読売新聞朝刊から掲載)
0%