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2021.8.27

天平文化の華やぎ、鮮明に~「正倉院展」10月30日から奈良で

北倉30 螺鈿紫檀阮咸(円い胴の絃楽器)

正倉院の宝物を一般に公開する「第73回正倉院展」が10月30日から11月15日まで奈良国立博物館(奈良市)で開催される。8件の初出陳作品を含む55件の宝物が展示される。

正倉院は奈良時代に建立された東大寺の倉庫で、聖武天皇の遺愛の品々を中心とする約9000件の宝物を今に伝える。正倉院展は、これら正倉院宝物の中から毎年60件ほどを選び公開する展覧会で、今年で73回目を迎える。

今年も、楽器、調度品、染織品、仏具、文書・経巻など、正倉院宝物の全容をうかがえるような多彩なジャンルの品々が出陳され、宝物が織り成す豊かな世界を楽しむことができる。

北倉30 螺鈿紫檀阮咸(円い胴の絃楽器)
南倉37 漆金薄絵盤(蓮華形の香炉台)

高貴な素材を惜しげもなく使った円い胴の絃楽器「螺鈿らでん紫檀したんの阮咸げんかん」や、極彩色の文様が目にも鮮やかな蓮華形の香炉台「うるし金薄きんぱく絵盤えのばん」は、天平文化の華やぎを今も鮮明にとどめた正倉院宝物を代表する品だ。

螺鈿紫檀阮咸は奈良では25年ぶりの公開、また漆金薄絵盤は2013年に出陳されたものと対をなすもので、28年ぶりの公開となる。

■東大寺の献納品
中倉76 白瑠璃高坏(ガラス製の高坏)

日本で仏教がますます盛んになった奈良時代を象徴する出来事の一つが、東大寺大仏の造立だった。今年はこの大仏の開眼かいげん法要で東大寺に献納された品々がまとまって出陳される。

なかでも、はるか西方の地で作られたとされるガラス製の高坏「白瑠璃はくるりの高坏たかつき」は、高度な技術水準を示すガラス器の優品として注目される。また、開眼法要で演じられた楽舞がくぶの装束も出陳され、法要の場の華やかな情景が浮かんでくる。

南倉134 曝布彩絵半臂(文様を描いた上着)

このほか、鳥や獅子の文様を彩り豊かに描いた上着「曝布ばくふ彩絵さいえの半臂はんぴ」や、夾纈きょうけち染め(板締め染め)のばんなど、さまざまな技法で装飾された染織品も見どころだ。

北倉182 茶地花樹鳳凰文﨟纈絁(文様染めの絹織物)

今回、初出陳となる文様染めの絹織物「茶地ちゃじ花樹かじゅ鳳凰ほうおう文﨟もんろうけちのあしぎぬ」は、ろうを防染剤として使う染色技法「﨟纈染め」の一種と考えられてきたが、これまでほとんど知られていなかった色染めの技法が使われていることが最近明らかになり、当時の染色技術の多彩さをうかがわせる研究成果として注目を集めている。

一方で、近年、宮内庁正倉院事務所で本格的な調査が行われた筆をはじめ、墨・すずり・紙といった文房具がまとまった点数出陳されるのも今回の特徴だ。これらに注目することで、人々の知識の源泉となり、国の統治に欠かせない文書行政を支えた書の文化に思いをはせる機会ともなる。

観覧には「前売日時指定券」が必要。当日券の販売は行われない。詳細は展覧会公式ホームページで。

展覧会公式サイトはこちら

正倉院展 (shosoin-ten.jp)

開催概要

日程

2021.10.30〜2021.11.15

会期中無休

会場

奈良国立博物館 東新館・西新館
〒630-8213 奈良市登大路町50(奈良公園内)

料金

一般2000円、高校・大学生1500円、小中学生500円

観覧には前売日時指定券の予約が必要

休館日

なし

開館時間

午前9時~午後6時
※金曜日、土曜日、日曜日、祝日(11月3日)は午後8時まで
※入館は閉館の60分前まで

お問い合わせ

ハローダイヤル 050-5542-8600

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