2024.5.20
「大正度 主基地方風俗歌屏風」竹内栖鳳
1915年(大正4年)
皇居三の丸尚蔵館収蔵
皇室ゆかりの美術工芸品を収蔵する皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)から、国宝をはじめとする優品の数々や、香川ゆかりの作品を紹介する展覧会「皇居三の丸尚蔵館名品選 美が結ぶ 皇室と香川」が高松市玉藻町の県立ミュージアムで開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。
天皇の即位後初めて、五穀豊穣を感謝する大嘗祭で、神に供える新穀を収穫する地方として、東の地域から悠紀国、西の地域から主基国が決められる儀式があり、大正天皇即位の際に、主基国として香川県が選ばれた。
大嘗祭後の節会(大饗の儀)には、悠紀・主基両地方の風景を詠んだ歌と絵を表した屏風が飾られ、この儀式は、昭和、平成、令和の大礼にも受け継がれている。本作品は、和歌を宮内省御用掛の子爵・入江為守が詠み、絵を帝室技芸員で日本絵画の西の雄・竹内栖鳳が実際に香川県に滞在し、四季折々の風景を描いた。
一般的な屏風より格段に大きく、伝統的なやまと絵の技法で横一文字にたなびく霞が描かれるが、その向こうには山、里、川、海、そこで働き暮らす人々と、生き生きとした当時の主基国・讃岐の風景が広がっている。(県立ミュージアム 主任専門学芸員 窪美酉嘉子)
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「美が結ぶ 皇室と香川」展は〔2024年5月〕26日まで。 月曜休館。 087・822・0002。
(2024年5月17日付 読売新聞朝刊より)
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