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2022.7.23

【皇室ゆかりの名品】「彷霽紅宝相華紋花瓶」中国古陶磁の赤紫を再現

ほう霽紅せいこう宝相華紋ほうそうげもん花瓶かびん

「彷霽紅宝相華紋花瓶」 小森忍
1921~28年  宮内庁三の丸尚蔵館蔵

作者の小森忍は、中国古陶磁の研究に心血を注いだ。本作でも14~15世紀頃の中国で完成した「霽紅せいこう」という赤紫色の釉薬ゆうやくの再現に挑んでいる。

小森は1921年~28年にかけて、中国・大連に陶磁器研究所を設けた。本作はその時の制作である。小森は後に活動拠点を移し、瀬戸、三重、北海道と日本各地で研究と制作に取り組んだ。

小森の作陶姿勢や残した成果は、河井寬次郎や濱田庄司といった近代を代表する陶芸家たちにも強い影響を与えており、日本陶芸の発展に大きな足跡を残した。

本作は香淳皇后(昭和天皇の皇后)のご遺品。

(瀬戸市美術館学芸員・西野航)

皇室に伝わる優れた工芸品のうち、陶都・瀬戸をはじめとする愛知県ゆかりの品々を紹介する展覧会「皇室の名品―愛知ゆかりの珠玉の工芸―」が、瀬戸市美術館(愛知県瀬戸市)で7月31日まで開かれている。

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