皇室には数々の名刀が伝わった。その多くが明治天皇の頃に収蔵されたもので、ここで紹介する短刀「
刀工の正宗は鎌倉時代末期から南北朝時代初期に相模国(神奈川)で活躍した人物で、その作風は
本作は天下統一を果たした豊臣秀吉が所持し、大名の毛利輝元に渡った後に輝元の号「宗瑞」の名が付けられたという。
その後、越前松平家を経て尾張徳川家へ渡り、1698年(元禄11年)3月18日に同家より5代将軍徳川綱吉に献上された。徳川将軍家へ伝わった後、1887年(明治20年)8月5日に公爵徳川
そして、宗瑞正宗には、金製花唐草文様の透かし彫り金具を
各部の金具には佐渡鉱山から採掘された純金を用い、鞘の花形中央には甲州産の水晶がはめ込まれている。
本作は明治天皇の御下命により、当時の宮内省内に設けられた製作場で作られた、「
製作においては、帝室技芸員の香川勝廣が主任となり図案を調整し、金具彫刻を香川とともに川崎則長、金具下地を田村宗吉、鞘を小堀正治が担当した。
付属の文書によれば、「図案は我が国伝来の諸名作を
(宮内庁三の丸尚蔵館学芸室研究員 細川晋太郎)
◆皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手
【会期】11月27日(日)まで
【会場】一関市博物館(岩手県一関市厳美町)
【主催】一関市博物館、宮内庁
【特別協力】文化庁、紡ぐプロジェクト、読売新聞社
【問い合わせ】0191・29・3180
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