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2020.9.4

【作家が語る】神農巖―工藝2020出展作品から

青磁堆線文鉢せいじついせんもんばち

神農 巖 2018年 W・D・H:51・51・16cm (個人蔵)【陶磁】

アトリエから眺める比良の山々、琵琶湖の空の青を映してどこまでも青く、満々と水を湛えた深い色合いを、焼きものに写し取りたいと思っています。このフィールドで培われた感性から作品は生まれます。やさしくもあり厳しさも見せる自然への畏怖や畏敬の念を込めて、水を動きのあるラインで表現しました。技法的には磁土を泥漿にして、筆で幾度も塗り重ねる、堆磁手法で造形表現をしています。

神農 巖(1957- )Shinnō Iwao
京都府生まれ。近畿大学卒業後に陶芸を志し、京都府陶工職業訓練校を経て1983年京都市工業試験場窯業専攻科を修了した。伝統工芸を主体に活動し、日本伝統工芸展で2009年及び2011年優秀賞を受賞した。また1994年京都工芸ビエンナーレ優秀賞や2004年菊池寛実記念智美術館第1回菊池ビエンナーレ優秀賞、2012年パラミタ陶芸大賞展大賞と受賞を重ね、2014年には日本陶磁協会賞を受賞した。清々しい青磁の釉調で、有機的な官能さをうかがわせる堆磁の稜線文様が大鉢や壺の形体に緊張感と動的な印象を表している。《青磁堆線文鉢》は、泥漿による堆磁の手法に青磁釉をかけて、自然への畏怖とそれに相対する生命の姿を心象に動的な造形としている。滋賀県大津市在住。

工藝2020の出展作品一覧・関連記事はこちら

「工藝2020」開催概要や日時指定チケットの情報は公式サイトで

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kogei2020/

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