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2020.9.5

【作家が語る】山下義人―工藝2020出展作品から

蒟醤箱 「山笑う」きんまはこやまわらう

山下 義人 2011年 W・D・H:26.5・13.5・13.5cm (高松市美術館)【漆工】

季語として使われてきた春を表す言葉。毎年繰り返されてきている自然界の季節の移り変わりには、いつも感動を覚える。自宅前にある里山の春の新緑には特に生命の息吹を感じさせられる。そんな情景を「山笑う」と表現している。抽象的であるがイメージを大切にしながら心象風景を表現した。技法は極めて単純で放射状に溝を彫ったところへ40回程緑漆と金粉を交互に埋め平に研ぎ下した。

山下 義人(1951- ) Yamashita Yoshito
香川県生まれ。香川県立高松工芸高等学校および香川県漆芸研究所で学んだ後、蒟醬の磯井正美、蒔絵の田口善国に師事した。伝統工芸を主体に活動し、日本伝統工芸展で1989年及び1994年優秀賞、2005年及び2011年日本工芸会保持者賞と受賞を重ねた。2012年伝統文化ポーラ賞優秀賞受賞。2013年重要無形文化財「蒟醬」保持者認定。彫りと色埋めを丹念に繰り返す蒟醬の技法で豊かな色漆の諧調と煌めきの表現を獲得し、自然の形象を主題に繊細な感性を現している。香川県高松市在住。

工藝2020の出展作品一覧・関連記事はこちら

「工藝2020」開催概要や日時指定チケットの情報は公式サイトで

https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kogei2020/

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