漆黒の夜空に黄金色の大きな月に出会うと、驚きと大いなる満足感を覚えます。その感動のスーパームーンを、もう一度漆の上に再構成してみました。取材地(モデルとした場所)はなく、山や湖はイメージで形態を作り上げたものです。技法と材料は金粉の研出蒔絵と鮑貝、白蝶貝の螺鈿です。
並木 恒延(1949- )Namiki Tsunenobu
東京都生まれ。1977年東京藝術大学大学院美術研究科漆芸専攻修了。蒔絵の田口善国に師事し、その後高橋節郎に絵画的表現を師事した。日展を主体に活動し、1987年及び1991年特選、2006年文部科学大臣賞を受賞、日本現代工芸美術展でも受賞を重ねた。漆特有の黒のマチエールに金の研出蒔絵と螺鈿や卵殻を駆使し、月夜の白波や湖上の月、雪景色等の写実と幻想の感覚を発揮した絵画的な表現手法による、情感に富む造形を発表している。1981年日仏現代美術展アカデミ・デ・ボザール賞、2018年度日本芸術院賞を受賞。東京都羽村市在住。
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