伝統芸能の伝承者を養成している国立劇場が、研修生を支援するクラウドファンディングを実施中だ。コロナ禍で財務状況が悪化する中、初めての試みで、10月30日まで募集している。
養成事業には歌舞伎俳優や歌舞伎音楽、文楽、能楽などがあり、寄付金は研修生が使う三味線の皮、小道具といった消耗品の補充や、研修発表会の費用などにあてる。
2019年に研修出身者で初めて人間国宝（歌舞伎音楽竹本）になった竹本葵太夫さん（61）は「お国のお金で世話になっているということは、世の中の皆さんにお世話になっているということ。それを忘れてはいけないと後輩には必ず申しています。残念ながら国の文化予算がつきづらくなっている中、どうかご理解いただければ」と支援を呼びかける。
今回のように目に見える形の寄付を受けることは、研修生たちが「世の中の皆さんに支えられている気持ち」を強く抱ける機会になると葵太夫さんは考えている。
寄付金額に応じ、研修生からのお礼状や動画、研修発表会への招待などの返礼品がある。ウェブサイトからの寄付は「国立劇場 レディーフォー」で検索。問い合わせは、日本芸術文化振興会の寄付担当（03・3265・6719）へ。
（2022年10月2日付 読売新聞朝刊より）
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