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2023.3.7

中村又五郎さん「一條大蔵譚」― 国立劇場「歌舞伎名作入門」開幕

「一條大蔵譚」で大蔵卿を演じる中村又五郎さん(右)=国立劇場提供

わかりやすい案内も付いた「歌舞伎名作入門」が〔2023年3月〕3日、国立劇場(東京・半蔵門)で開幕した。10月の閉場まで続く「初代国立劇場さよなら公演」の一環で、源氏再興を目指す人々のドラマ「一條いちじょう大蔵譚おおくらものがたり」「五條橋」を連続上演する。

「一條――」の主人公、一條大蔵きょうを演じるのは、滋味深い演技に定評のあるベテラン、中村又五郎さん。平家全盛の世の中でひそかに源氏に心を寄せている公家で、本心を悟られまいと狂言に没頭して浮世離れした人物を装うという、難しい役どころに挑む。物語のクライマックス「奥殿」は今でもよく上演されるが、大蔵卿が狂言の舞を舞って敵方をけむに巻く「曲舞くせまい」が今回、久々に上演される。

又五郎さんが慕った中村吉右衛門さん(2021年死去)は大蔵卿を当たり役にし、又五郎さんも舞台で間近に見てきた。「少しでも吉右衛門のお兄さんに近づけるよう努力、精進したい」と意気込みを語った。大蔵卿の妻、常盤御前を中村魁春さんが演じる。

弁慶と牛若丸(後の源義経)の出会いを描いた「五條橋」では、又五郎さんの長男の中村歌昇さんが弁慶、次男の中村種之助さんが牛若丸を勤める。2人は「一條――」にも出演している。

上演前に、片岡亀蔵さんによる案内「源氏の旗揚げ」がある。27日まで、正午開演(10、20日は休演)。(電)0570・07・9900。

(2023年3月5日付 読売新聞朝刊より)

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