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2023.6.5

6月歌舞伎鑑賞教室開幕 ― 中村扇雀・虎之介さん親子「日本振袖始」

6月歌舞伎鑑賞教室に出演する(右から)中村扇雀さん、中村虎之介さん

国立劇場(東京・半蔵門)の6月歌舞伎鑑賞教室が〔2023年6月〕2日、開幕した。初めて歌舞伎に触れる人に向けた解説付きの公演で、中村扇雀さん、中村虎之介さんの親子が名作「日本振袖始にほんふりそではじめ」に出演している。

日本の神話から題材をとった近松門左衛門の名作で、久しく上演が途絶えていたが1971年に国立劇場で復活上演して以降、人気演目になった。岩長姫実ハ八岐やまたの大蛇おろちを初役で勤める扇雀さんは「近松作品を現代によみがえらせる父(坂田藤十郎さん)の精神を引き継ぐことが私の責務と感じていた中、(虎之介さん、国立劇場とも)意見が一致して何の迷いもなく演目が決まった。舞踊の要素も多く、歌舞伎の醍醐だいご味が非常にある作品です」と語る。

八岐大蛇の退治に向かう素戔嗚尊すさのおのみことを初役で勤める虎之介さんは、上演前に「歌舞伎のみかた」と題して解説も担当する。高校1年から今回で4度目で、以前は洋楽を流しつつ洋服姿での登場や、回り舞台などを大胆に活用した解説が評判を呼んだ。

「ただの説明ではなく、一つの演目と思っている。これまでの集大成にしたい」と笑顔で語った。

9日は社会人のための鑑賞教室(午後7時開演)、23日は外国人のための鑑賞教室(午後2時半、同7時開演)がある。公演は24日まで。(電)0570・07・9900。

(2023年6月4日付 読売新聞朝刊より)

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