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2024.10.15

【皇室の至宝 北海道ゆかりの名品・中】 愛らしい造形に菊の紋 ― 「犬張子形いぬはりこがたボンボニエール」(道立近代美術館リサーチ推進課長・薗部容子)

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)が収蔵する美術工芸品の中から、国宝や、皇室と北海道のつながりを伝える作品などを集めた「皇居三の丸尚蔵館展 皇室の至宝 北海道ゆかりの名品」が道立近代美術館(札幌市中央区)で開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

丸い目と、愛嬌あいきょうある表情をたたえた口元。額から鼻にかけてと、しっぽや脚には、模様が見られる。耳や足先を含め、全体的に丸味を帯びた愛らしい造形である。胴衣には皇室の菊の紋があしらわれている。

「犬張子形ボンボニエール」
1934年(昭和9年)
皇居三の丸尚蔵館収蔵

ボンボニエールとは、フランス語で蓋付きの菓子器のこと。明治20年代以降、現在にいたるまで、小ぶりの容器に金平糖などの砂糖菓子を入れたものが、皇室の饗宴きょうえんにおいて出席者に配られるようになった。

本作は、1934年(昭和9年)の皇太子さま(今の上皇さま)の「御誕生御内宴」のために作られたもの。

本展覧会のポスターやチラシなどに、本作のシルエットをシンボル・マスコット的に使用している。(道立近代美術館リサーチ推進課長・薗部容子)

〔2024年10月〕27日まで。道立近代美術館(011・644・6882)。

(2024年10月12日付 読売新聞朝刊より)

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