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2024.7.8

5年ぶり虫払い行事 国宝公開 ― 空海ゆかりの京都・神護寺

国宝「伝源頼朝像」(左)などが書院で陰干しされ、拝観者に公開された=宇那木健一撮影

空海ゆかりの神護寺(京都市右京区)で〔2024年〕5月初め、コロナ禍で中断していた「虫払い行事」が5年ぶりに行われた。陰干しを兼ねて寺宝を公開するもので、国宝6件を含む宝物約70件が書院で展示された。うち「伝源頼朝像」(国宝、鎌倉時代)や、「赤釈迦」と呼ばれる「釈迦如来像」(同、平安時代)などは、7月17日に東京国立博物館で開幕する特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」で展示される。

神護寺は、唐で学び帰国した空海が一時活動拠点とした高雄山寺たかおさんじを起源とする真言密教の寺院。虫払いは江戸時代の寛永年間(1624~44年)に始まり、明治期に途絶えたが、1954年、年1回の虫干しを定めた「神護寺一切経蔵いっさいきょうぞう虫払定むしはらいさだめ」が発見され、再開した。気候が安定している5月初旬に行うのが通例で、今年も1~5日の5日間、掛け軸や書状などが書院に陳列され、拝観者に公開された。

「神護寺一切経蔵虫払定」

国宝17件、重要文化財2833件を含む神護寺の所蔵品は、その多くが京都国立博物館(京都市東山区)などに寄託されているが、書院に持ち帰って虫干しできる数は限られる。それでも続けるのは、「貴重な文化財をきちんと管理し、修理し、守っていこうという心構えを保つため」と谷内弘照こうしょう貫主(68)は言う。

虫払定文書を前にする谷内弘照貫主

寺の創建1200年を記念して開かれる特別展では、本尊の「薬師如来立像」(国宝、平安時代)が寺外初公開される。展示品の「灌頂かんじょう暦名れきみょう」(同)は、空海が灌頂(密教の入門儀式)を施した弟子の名を記した書で、天台宗の開祖である最澄の名もある。谷内貫主は「空海と最澄も、創建前からここにあった薬師如来立像の前で手を合わせたに違いない。日本の密教はここで始まったというリアリティーを、展覧会で感じ取ってもらいたい」と話している。

神護寺の楼門

創建1200年記念 特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」

【会期】7月17日(水)~9月8日(日)。月曜と8月13日(火)休館(8月12日は開館) ※会期中、一部展示替えあり。
【会場】東京国立博物館平成館(東京・上野公園)
【観覧料金】一般2100円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下無料(前売りは200円引き)
【主催】読売新聞社、東京国立博物館、高雄山神護寺、NHK、NHKプロモーション
【特別協力】文化庁
【問い合わせ】050・5541・8600(ハローダイヤル) 
【公式サイト】https://tsumugu.yomiuri.co.jp/jingoji/

(2024年7月7日付 読売新聞朝刊より)

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