2023.12.6
三の丸尚蔵館の名品(2024年5月21日~6月23日)
皇室は1000年以上もの間、みずからが和歌や書などの「作り手」となって時代の文化を育むとともに、貴重な文化財を守り、継承する役割を担ってきた。収集の歴史は古く、奈良時代、聖武天皇ゆかりの品々を納めた正倉院宝物にさかのぼる。紙や絹など脆弱な素材で作られたものが、今に伝えられている例は世界でも珍しい。皇室ゆかりの品々を収蔵する「三の丸尚蔵館」が、宮内庁から国立文化財機構に移管され、新しい施設でオープンした。開館記念展「皇室のみやび―受け継ぐ美―」を来年〔2024年〕6月まで4期に分けて開催、国宝はじめ皇室が守り伝えた日本の美を紹介する。
皇室には、後世まで確実に伝えられるよう願って納められた美術品が多い。
料紙が美しい「粘葉本和漢朗詠集」は、藤原行成筆と伝わる平安時代屈指の名筆だ。近衛家に伝来し、明治期に皇室に納められた。
ヒノキ材で1組の雄鶏と雌鶏を彫刻し、蒔絵で装飾した「双鶏置物」は、大正天皇の即位を祝う「大礼奉祝品」として華族が献上した。雌雄の鶏は慶事におめでたいモチーフとして選ばれた。
(2023年12月3日付 読売新聞朝刊より)
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