2019.10.10
ハードルが高いと思われがちな日本の伝統美術にもっと親しみたい人のためのコラム「大人の教養・日本美術の時間」をポータルサイト「紡ぐ TSUMUGU: Japan Art & Culture」で好評連載中の美術ライター、鮫島圭代さんは、墨絵画家としても活躍されており、コラムに添えられているすてきな墨絵のイラストも、鮫島さんの手によるものです。その鮫島さんが主宰する墨画塾「継未」の社中展が 10月5日と6日の両日、 東京・上野のスタジオで開かれました。「紡ぐ」の担当編集者として、これは逃してはなるまいと思い、のぞかせていただきました。
鮫島さんは大学在学中、 南北朝時代の禅僧画人で、 国宝「寒山図」 などの名品を残した可翁の作風に魅せられ、昭和期の書家・水墨画家、内山雨海の門下だった水墨画家、目黒巣雨氏の門をたたいたそうです。墨絵画家としては、英国留学中から活動を開始。洋服や着物に墨絵を大胆にあしらった作品などが注目され、国内外で個展を開いたり、墨絵パフォーマンスを行ったりされてきました。開塾後は活動の領域をさらに広め、2017年と2018年には、ファッションブランド Little EAGLE とのコラボレーションで、墨絵を描いたドレスを大丸ミュージアム(大阪)などで展示。2018年は、アップリンク渋谷(東京)のギャラリーで個展「水墨画 布と和紙 模写と現代」も開催されました。今回の社中展では、上野の美術館エリアに近い、不忍池そばの和室のスタジオで、「竹林の虎」や伊藤若冲の作品を模写した「鶏図」など近作数点を塾の生徒 たちの力作と共に展示されました。
継未の墨絵教室は、上野と大宮(さいたま市)の 2 会場で 3 クラスが開かれているそうです。生徒は書道をやっていて、絵も描いてみたくなったという人もいるようですが、絵に苦手意識があったという全くの初心者が多いようです。「昇級制で、果物、草花、魚などから始め、ゆっくりと墨絵の技法を学ぶことができるんですよ」と鮫島さん。上級者になると、江戸時代の絵師などの作品を模写するそうです。年末は、干支を描く「年賀状クラス」も開かれます。
鮫島さんの強みの一つは留学経験があり、英語が堪能なこと。日本文化を体感したい外国人観光客のための墨絵教室を開くこともあるそうです。
墨絵作品を制作したり、生徒を指導したりしながら、ライターとしても、ファッション誌のアート記事を執筆したり、展覧会のパンフレットを手がけたりと、活動領域を広げている鮫島さんだからこそ、日本美術入門とも言える「大人の教養・日本美術の時間」の筆者にふさわしいのでは、と担当編集者は考えており、ハナから長期連載にすることをもくろんでいます。読めば読むほど、本物の日本美術に触れてみたくなる――。鮫島さん共々、そのようなコラムを目指しておりますので、どうぞフォローをお願いします!
墨絵教室についての詳細は: Tamayo Samejima
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