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2022.9.13

工芸と芸能の人間国宝が交流…9月24日にイベント「現代の匠たち」 能の上演や工芸作品の展示など

能楽小鼓方の大倉源次郎、元文化庁長官の近藤誠一、漆芸の人間国宝・室瀬和美、裏千家茶道教授の北見宗幸(右から)

工芸と芸能の相互交流を深めるイベント「現代のたくみたち~藝能げいのう工藝こうげい饗宴きょうえん2022~」が24日、観世能楽堂(東京・銀座)で行われる。「茶の湯」ゆかりの能や狂言を上演し、各分野の人間国宝6人が一堂に会する。

伝統工芸品の認知度の向上や市場拡大に取り組む一般社団法人「TAKUMI―Art du Japon」の主催。工芸技術、芸能の両分野で100人以上いる人間国宝同士の交流をはかり、伝統文化の価値を再評価する目的で始まり、今年3回目となる。

元文化庁長官で同法人の代表理事・近藤誠一は「芸能と工芸がいかに密にサポートし合っているのか。若い人も含めて気軽に体験できる機会にしたい」と語る。漆芸の人間国宝・室瀬和美も「相手をおもんぱかったり、五感を働かせたり。(工芸と芸能に共通する)日本の心の豊かさという財産を次の世代に伝えていきたい」と語る。

「茶の湯」ゆかりの能や狂言を上演

美術工芸の粋を集めた茶道具などが「総合芸術」とも言われる茶の湯をテーマに、仕舞「頼政」、狂言「通円」ほか、義太夫「しょううつし朝顔話あさがおばなし」などを上演する。

「頼政」は茶の名産地・京都宇治が舞台で、源平合戦の宇治平等院の戦いで討ち死にした武将の奮戦ぶりを描く。「通円」は頼政と初代通円が主従関係だったことにちなんだパロディーだ。通円という茶人が宇治橋たもとで茶をてすぎて死ぬ。

「生写朝顔話」はお家騒動に男女のすれ違いの恋を絡めた時代物で、薄茶一服に計略をめぐらす「笑い薬の段」を披露する。

上演演目について「様々な文化芸能がつながっていることが感じられ、思いが膨らむように選曲した」と能楽小鼓方の大倉源次郎。能楽シテ方(梅若桜雪ろうせつ、大槻文蔵)、狂言方(野村万作)、小鼓方(源次郎)、文楽太夫(豊竹咲太夫)の人間国宝5人が出演する。

それに先立ち、茶道武者小路むしゃこうじ千家の家元後嗣こうし・千宗屋が「茶の湯と匠の文化」をテーマに基調講演する。室瀬、和泉流狂言方の野村萬斎が加わったシンポジウムも行われる。

関連イベントとして、19、20日に茶道会館(東京・高田馬場)で裏千家茶道教授の北見宗幸による呈茶会(計5席)も予定。

(2022年9月6日付 読売新聞夕刊より)

中高生無料招待の申し込みは9月14日まで

指定席1万2000円、自由席9000円。中高生計10人を無料招待する。応募は特設サイト(https://takumi-art.jp/)から。  

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