日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2021.1.9

【21年度修理品から②】奇想の絵師・芦雪の襖絵 愛嬌たっぷりの子犬も

重要文化財 方丈ほうじょう障壁画しょうへきが 長沢芦雪ろせつ筆 45面のうち紙本著色しほんちゃくしょく花鳥群狗図かちょうぐんくず襖貼付ふすまはりつけ8面ほか (和歌山・成就寺蔵)

重要文化財 方丈障壁画 長沢芦雪筆 紙本著色花鳥群狗図(西面、和歌山・成就寺蔵)
重要文化財 方丈障壁画 長沢芦雪筆 紙本著色花鳥群狗図(南面、和歌山・成就寺蔵)
■動物の表現 生き生きと

18世紀の京都で円山応挙に学んだ長沢芦雪は、大胆な構図や自由奔放な画風で当時から人気があり、近年も「奇想の画家」として注目を集める。特に紀州(和歌山県)の寺院では、応挙の名代として数多くの障壁画を手がけた。

芦雪は動物の表現も得意とした。修理対象となる障壁画のうち「花鳥かちょう群狗図ぐんくず」には、群がる犬たちが、生き生きとした筆遣いで表現されている。仲間とじゃれ合ったり、駆け回ったり、思い思いに活動する子犬たちの姿は愛嬌あいきょうたっぷりだ。

■虫食いを補修   

成就寺に残されていた壁貼付1面は、紡ぐプロジェクトの助成も得て修理を実施中。さらに5年かけて、和歌山県立博物館に寄託・保管されるふすま絵の一部を修理する。

寺の建具として日常的に使われていたため、傷みが進んでおり、虫食いなども目立っている。骨組みから絵を取り外し、修理を行った後、組み立て直す。  

(2021年1月7日読売新聞より掲載)

Share

0%

関連記事