2020.8.14

【古都の祈り コロナに向き合う】春日大社―人々のため行灯に思い

社殿の回廊で釣灯籠と一緒に飾る行灯には、「疫病退散」などと願いを込めて書き込まれた(奈良市の春日大社で)河村道浩撮影

「奈良時代、疫病がはやり、多くの人が亡くなった時からお祈りを続けてきた。国民に大変なことがあれば、常にお祈りをする。神社はそのためにあるのです」。春日大社の花山院弘匡かさんのいんひろただ宮司(57)はそう語る。

同大社の神事は、大小合わせ年間2200回にのぼるという。今年は1月末からその都度、疫病退散を願う祝詞を上げている。

残念なのは、間近に迫る「中元万燈籠ちゅうげんまんとうろう」で参拝の受け入れを中止せざるをえなかったことだ。毎年8月14、15両日、境内約3000基の灯籠をともし、人々が無病息災などを祈る伝統行事。今年は15日に限り、回廊の釣灯籠1000基と「疫病退散」などの字を墨書した行灯あんどんに火を入れる。

その模様は、動画配信サービス「ニコニコ生放送」で初めて中継する。「先人たちも病と闘い、苦難を乗り越えてきた。これを乗り越えた先には明るい未来がある。その思いを持って心を癒やしていただければ」と花山院宮司。画面越しに揺れる火が、新しい祈りのかたちとなる。

2020年8月14日付読売新聞から掲載

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