「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業は、今年度〔2024年度〕で6年目を迎えた。新たに助成対象となった国宝「宋版太平御覧」(京都・東福寺蔵)などが所蔵者のもとから修理所に運ばれ、作業がスタートした。
国宝「宋版太平御覧」は、中国・北宋期に編さんされた百科事典。東福寺(京都市東山区)が所蔵するものは、開山した
修理は2023年度から進められているが、24年度に「紡ぐプロジェクト」の助成対象となった。〔2024年〕4月8日には、今年度作業する14冊が同寺から京都国立博物館文化財保存修理所にある「修美」と「岡墨光堂」(いずれも京都市中京区)の工房に運ばれた。
冊子を解体して1枚ずつの状態にしたうえで、虫食いなどによる欠損部を補修する。補修紙は、デジタル撮影したデータをもとに欠損部の形に合わせた紙を
修美の宇都宮正紀社長は「まとまった冊子類の修理で、複数の工房の共同作業になる場合、この方式なら補修紙の質をそろえられるし、効率的に進められる。本紙を水に
■ 紡ぐプロジェクトとは
国宝や重要文化財、皇室ゆかりの名品、伝統文化、技術などを保存、継承していく官民連携の取り組み。文化庁、宮内庁、読売新聞社が2018年に開始した。展覧会の収益の一部や、企業からの協賛金などを活用し、文化財の修理を助成し永続的な「保存・修理・公開」のサイクル構築を目指す。これらの文化財の魅力や修理作業の経過に加えて、次世代に伝える伝統芸能、工芸の技術などを、紙面やサイトを通じて国内外へ情報発信している。
(2024年6月2日付 読売新聞朝刊より)
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