「紡ぐプロジェクト」の2025年度修理助成対象に選ばれた国宝2件、重要文化財3件の修理に向けた取り組みが始まった。それぞれの所蔵元から搬出される様子などをリポートする。
金剛峯寺(和歌山県高野町)の国宝「八大童子立像」のうちの3体が〔2025年〕5月8日、修理のため高野山霊宝館から奈良国立博物館文化財保存修理所(奈良市)へ搬出された。約1年かけて
八大童子立像は、鎌倉時代の仏師・運慶の作と伝えられており、高野山の壇上
この日は高野山の僧侶が作業の無事を祈って読経した後、修理を担当する「美術院」(京都市下京区)の技師2人が比較的傷みの少ない指徳童子立像を館内で修理。残る3体を薄い紙で包むなどして霊宝館から運び出した。
八大童子立像は一部が展覧会などに出品する際、個々に剥落止めなど応急処置を施しているが、本格的な修理は約50年ぶり。
大森照龍館長(64)は「今回修理のために搬出する矜羯羅童子、制多伽童子は八大童子立像の中でも運慶が特に力を入れて制作したと言われる優れた立像。3体がどのようにきれいになってお戻りになるか、今からどきどきしている」と語った。
(2025年7月6日付 読売新聞朝刊より)
0%