池に浮かぶハスを画題とした伊藤
全6幅の本紙は劣化が進み、汚れやシワも目立っていたが、クリーニングを行い、仮裏打ち紙を施したことで折れを解消した。「作品本来のしっとりとした空気感が感じられるようになった」(文化庁の中野慎之調査官)という。
過去の修理で用いられた補修紙の取り扱いも焦点となった。一般的に文化財修理は、後世に付け足された素材は極力取り除くのが基本だ。だが、この作品は補修紙が本紙とよくなじんでおり、作品を傷める要因にもなっていないことから、現状のまま、すべて残すこととした。
修理前の表具は黄土色だったが、「もっと引き締まった印象になる方が望ましい」(西福寺の榎原
修理は2021年度から23年度までの3年計画。順調に作業が進めば、来年夏以降に再び協議の場を設ける予定だ。
(2021年12月8日読売新聞から)
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