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2026.5.14

【修理リポート】重要文化財「不動明王坐像ざぞう」(石川・法住寺蔵)- 顔の向き修正 バランスよく 能登地震で被災

不動明王坐像に見入る佐伯住職=文化庁提供

文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、助成対象となった国宝、重要文化財の修理が続々と完了している。このうち、国宝2件、重要文化財1件について、修理の詳細をリポートする。

法住寺(石川県珠洲市)所蔵の重要文化財「不動明王坐像ざぞう」も、約1年間の修理が完了した。佐伯快紹住職(73)らが〔2026年5月〕3月18日、保管先の奈良国立博物館(奈良市)を訪れ、坐像を確認した。

坐像は寺の本尊で像高約86センチ。ヒノキとみられる針葉樹の寄せ木造りだ。表面の盛り上げ彩色の特徴などから、鎌倉時代の13世紀末~14世紀前半の制作と推定される。

2024年1月の能登半島地震で法住寺も被害を受け、同年春から奈良国立博物館の特別展に出品予定だった坐像の移動が一時危ぶまれたが、関係者の協力で展示にこぎ着けた。その後も地震の懸念が続き、同館で保管された。

坐像は経年劣化で肩や脚部の接ぎ目が緩み、彩色が浮き上がっていた。過去の修理で顔の向きが変えられたとみられることも判明。美術院(京都市下京区)により、同館の文化財保存修理所で修理が行われた。佐伯住職は「顔の向きがわずかに修正され、全体のバランスが見違えるほどよくなった」と感謝していた。

(2026年5月5日付 読売新聞朝刊より)

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