2024.5.10
「紡ぐプロジェクト」修理助成 作業終了、在るべき所へ
「紡ぐプロジェクト」の助成対象として修理を進めていた文化財が、2023年度の作業を終え、次々に所蔵元に戻った。随心院の「
金剛薩埵坐像 」や宝積寺の「十一面観音立像」は漆箔 の剥落 止め、西福寺の「蓮池図」は折れの修理などに多くの力を注いだ。
江戸時代中期の絵師・伊藤若冲筆の水墨画、重要文化財「
池に浮かぶハスを描いた蓮池図は70歳を過ぎた若冲が1790年(寛政2年)に描いた。制作当初は6面の襖絵だったが、1930年の修理の際に6幅の掛け軸に仕立て直した。以来約90年が経過し、折れや裏打紙の剥がれが目立つようになっていた。
修理を手がけた「松鶴堂」の担当技師によると、修理前の掛け軸の状態では若冲の描いた絵の周囲に、隠れていた部分があったが、全て見えるようになった。作品を収納する際、画の表面に折れが出来にくくなるよう、これまでより太い軸棒を取り付けられるようにした。
修理を終えた蓮池図を確認した榎原深了副住職(44)は「折れが取れてハスの花が柔らかく見えるようになった。
(2024年5月5日付 読売新聞朝刊より)
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