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2024.6.4

【修理リポート】重要文化財「厨子入普賢菩薩像ずしいりふげんぼさつぞう」(京都・岩船寺蔵)― 慎重期し2回に分け搬送

「紡ぐプロジェクト」修理助成 事業6年目 修理始まる

「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業は、今年度〔2024年度〕で6年目を迎えた。新たに助成対象となった国宝「宋版太平御覧ぎょらん」(京都・東福寺蔵)などが所蔵者のもとから修理所に運ばれ、作業がスタートした。

搬出前の「厨子入普賢菩薩像」=京都府教委提供

岩船寺(京都府木津川市)本堂の重要文化財「厨子入普賢菩薩像ずしいりふげんぼさつぞう」は、本像と厨子のそれぞれに傷みが進んでいる部分があるため慎重を期し、2回に分けて、奈良国立博物館文化財保存修理所に搬送した。2年間かけて修理を行う。

平安時代後期の制作とみられる本像は表面が彩色仕上げで朱、緑青などが残る。しかし、剥落はくらくや虫食いによる劣化が進み、厨子は漆層が浮き上がっているところが多く、傷みが激しい部分には養生紙を貼って梱包こんぽう。本体や像を乗せる白象、光背などは〔2024年〕4月8日、厨子は同11日に運び出した。

紡ぐプロジェクトとは

国宝や重要文化財、皇室ゆかりの名品、伝統文化、技術などを保存、継承していく官民連携の取り組み。文化庁、宮内庁、読売新聞社が2018年に開始した。展覧会の収益の一部や、企業からの協賛金などを活用し、文化財の修理を助成し永続的な「保存・修理・公開」のサイクル構築を目指す。これらの文化財の魅力や修理作業の経過に加えて、次世代に伝える伝統芸能、工芸の技術などを、紙面やサイトを通じて国内外へ情報発信している。

(2024年6月2日付 読売新聞朝刊より)

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