文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、成就寺(和歌山県串本町)が所有する重要文化財「方丈障壁画 長沢芦雪筆」45面のうち1面の修理が完了し、3月26日、寄託先の和歌山県立博物館(和歌山市)で関係者にお披露目された。
成就寺は、「奇想の画家」として知られる長沢芦雪(1754~99年)が描いた45面のうち、44面を既に同博物館に寄託。今回の1面は、中国の詩人を題材にした「林和靖図」の一部で、描いた紙が壁に貼り付けられていたため、取り外せずに寺に残され、劣化が進んでいた。
昨年7月に取り外し、京都国立博物館(京都市)の文化財保存修理所で穴や欠損部分を修理した。成就寺の大崎克己住職は「きれいに修理されて一安心。後世に残し、研究や鑑賞をしてもらいたい」と話した。
同館では、今秋の展覧会で修理後の絵を展示する予定。
(読売新聞和歌山支局 豊嶋茉莉、写真:写真部 大久保忠司、動画:デジタルコンテンツ部 沢野未来 2021年3月27日付読売新聞朝刊より掲載)
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