日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2021.10.9

後宇多天皇の墨書 修理後初公開、京都・大覚寺で

修理後、初展示された「後宇多天皇宸翰弘法大師伝」(京都市右京区で)=河村道浩撮影

文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、修理が今春完了した国宝「後宇多ごうだ天皇てんのう宸翰しんかん 弘法大師こうぼうだいしでん絹本けんぽん)」(1315年)の展示が8日、所蔵する大覚寺(京都市右京区)で始まった。85年ぶりとなった修理後、一般公開は今回が初めて。11月7日まで。

大覚寺中興の祖・後宇多天皇(1267~1324年)が、絹本に書写した弘法大師空海の伝記。書の名手としても知られる天皇が選んだ文章が、40行にわたって墨書されており、1954年に国宝となった。

修理は1935年以来で、2020年6月~今年3月、京都国立博物館(京都市東山区)の文化財保存修理所で行われた。

展示は、天皇ゆかりの品など27点が並ぶ秋季名宝展「中世の英主・後宇多法皇と大覚寺」(12月6日まで、一部展示入れ替え)で実施。会場の霊宝館では、修理で多数の横折れが解消し、くっきりと浮かび上がった墨文字を、来場者が熱心に見入っていた。兵庫県洲本市の会社員服部康子さん(62)は「きれいに修理され、後世に伝えられていくと思うと誇らしい」と感動していた。

修理の様子もパネルで紹介されている

大人800円、小中高生600円(参拝料含む)。問い合わせは同寺(075・871・0071)。

(読売新聞京都総局・山口景子)

(2021年10月9日読売新聞朝刊より)

あわせて読みたい

大覚寺ホームページはこちら https://www.daikakuji.or.jp/event_season_autumn/

Share

0%

関連記事