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2020.1.17

【修理リポート】「早来迎」 修理方針を協議 京都・知恩院の関係者ら

技術者から「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(早来迎、13~14世紀)について話を聞く知恩院の前田昌信執事(左)(12月11日、京都市東山区の京都国立博物館で)=近藤誠撮影

文化庁、宮内庁、読売新聞社が推進する「紡ぐプロジェクト」で修理が進む浄土宗総本山・知恩院(京都市東山区)所蔵の国宝「阿弥陀あみだ二十五にじゅうご菩薩ぼさつ来迎図らいごうず」(早来迎はやらいごう、13~14世紀)について、京都国立博物館(同区)で12月11日、知恩院の関係者らが集まり、修理方針などが話し合われた。

早来迎(縦1・45メートル、横1・55メートル)は、阿弥陀如来が諸菩薩と共に、往生を願う臨終の念仏者の元へ飛来する様子が絹に精密に描かれている。4月から顔料がはがれ落ちるのを防ぐ「剥落はくらく止め」や汚れの除去などが行われてきた。

この日は、修理を担う「光影堂」(京都市中京区)の小島知英・技師長らが、知恩院の前田昌信執事らにこれまでの経過を報告。汚れの除去の過程で過去の修理で補った部分が色落ちし、阿弥陀の右頬辺りに損傷が目立つようになったことから、今後実施する表面の穴や破れを繕う「補絹ほけん」の方法などが話し合われた。

前田執事は「汚れが落ち、本来の姿に近くなったが、このままではさすがに目立ってしまう。うまく修整してもらえれば」と期待した。

(2019年12月12日付 読売新聞朝刊より掲載)

修理中の「早来迎」の状況を確認する前田昌信執事
修理箇所に和紙を合わせて、補絹の作業の説明がされた
修理状況や今後の計画を話し合う関係者ら

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