文化庁、宮内庁、読売新聞社が官民連携で進める「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の修理事業で、最初の対象となる国宝「阿弥陀二十五菩薩来迎図」(早来迎、14世紀)が4月11日、京都国立博物館(京都市東山区)の修理作業施設に搬入された。修理は1934年以来、85年ぶり。
阿弥陀如来が諸菩薩と共に往生を願う臨終の念仏者の元へ飛来する様子が、縦1・45メートル、横1・55メートルの大画面に精密に描かれている。その対角線を駆け降りるようなスピード感から「早来迎」と呼ばれる。浄土宗総本山・知恩院(京都市東山区)が所蔵し、同博物館へ寄託している。
この日、同博物館の収蔵庫から運び出された早来迎は、修理作業施設の壁に掛けられ、知恩院の前田昌信執事や修理技術者らが絵の状態を丁寧に確認した。
大原嘉豊・同博物館保存修理指導室長は「絵の表面は経年によって変色や横折れが目立つ。絵を裏側から支える肌裏紙を替えることで、描かれた水の青みなどが引き立つと思う」と期待した。
(読売新聞大阪文化部 佐藤行彦)
(2019年4月12日読売新聞朝刊より掲載)
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