2020.11.10

【動画あり】長沢芦雪の障壁画 修理方針を協議…江戸期の補修保存へ

「奇想の画家」として知られる長沢芦雪ろせつ(1754~99年)が描いた成就寺(和歌山県串本町)所有の重要文化財「方丈障壁画 長沢芦雪筆」(45面)。このうち壁貼付かべはりつけ1面(高さ1・75メートル、幅1・87メートル)が今年度の紡ぐプロジェクトの文化財修理助成事業の対象となり、9月30日に京都国立博物館(京都市)の文化財保存修理所で作業方針が話し合われた。

絵の状態について修理技術者から説明を受ける大崎住職

中国の詩人を題材にした「林和靖図りんなせいず」の一部で、芦雪が現在の和歌山県南部に滞在した際に制作した。左上に鶴、中央部分には背中をかがめて歩く人物が描かれている。

他の44面は成就寺が和歌山県立博物館に寄託したが、方丈の壁に貼り付けられた1面は搬出できずに劣化が進み、亀裂が生じるなど危険な状態となっていた。このため、技術者らがヘラなどを使って慎重にはがし、7月に修理所へ運んだ

この日は「松鶴堂」(京都市)の担当者らが作業の進捗しんちょくを報告した。調査の結果、作品の右側に、江戸後期頃の修理で紙が新たに補われていることが判明。文化財の修理では原状が分かるよう後代の補修は除去してから、新たに補修し直すことが多い。しかし、今回の補修紙は、作品の鑑賞・保存上問題ないと判断したため、絵が残る左側と同様に残すこととした。

本紙と後世の補修で継がれた紙の違いを確認する修理技術者と大崎住職

松鶴堂の森田健介技師長の話「本紙はかなり薄いと思われる。今後の修理では、本紙を傷めないよう慎重に補修紙をめくり、裏打ち紙を除去していきたい」

成就寺の大崎克己住職の話「表面の汚れが取れ、過去の補修跡が鮮明にわかるようになった。できるだけ現在の状態を後世に伝える方向で修理を進めてほしい」

(読売新聞京都総局  辰巳隆博)

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