今年は比叡山延暦寺を創建した天台宗祖・最澄(767~822年)の1200年の大遠忌だ。現在、国宝の総本堂「根本中堂」で60年ぶりの大改修が進んでいる。最澄の教えと比叡山の伝統は、中堂の内部を厳かに照らす「不滅の法灯」とともに全国3000を超える寺院に脈々と受け継がれている。
伝教大師最澄は、法華経を根本経典とする天台の教えを学ぶため中国・唐にわたった。延暦寺根本中堂の前身となる一乗止観院を比叡山に建立し、以来、天台宗の総本山として信仰を集めた比叡山は、法然・親鸞・日蓮といった各宗派の開祖たちが学び、「日本仏教の母山」としての名声を確立した。
根本中堂は織田信長による比叡山焼き打ちを経て、徳川3代将軍家光の命で1642年に再建した。1955年に「昭和の大改修」が行われ、今回の改修は2016年から25年度末まで10年にわたる大事業だ。
正面の幅36.7メートル、奥行23.9メートル、高さ24.3メートルもの規模を誇る根本中堂は現在、無数の銅板が一面に張られた屋根の
重要文化財「根本中堂
「職人の
根本中堂では、最澄がともし、今なお延暦寺の象徴として受け継がれる「不滅の法灯」が堂内を照らしている。比叡山焼き打ちで法灯も
「我々の使命は、伝教大師の志を次世代に受け継ぐこと。根本中堂を修理することも、不滅の法灯の火を守り続けることも、その一環なのです」と小森さん。
特別展「最澄と天台宗のすべて」では、延暦寺や、その教えを受け継ぐ全国の寺院の国宝・重要文化財が数多く並ぶ。不滅の法灯をLEDライトで再現し、根本中堂の修理の様子を映像で紹介するコーナーも設けられる。小森さんは「展示をご覧になった方がぜひ、延暦寺にも訪れ、伝教大師が創建して以来の1200年の霊気にじかに触れていただけたら」と話している。
(読売新聞文化部 多可政史)
(2021年10月3日読売新聞から)
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