愛媛県鬼北町の等妙寺の本尊、
像は菩薩が片膝を立てて岩の上にくつろぐ姿を表した高さ89センチの木像で、60年に1度しか公開されない秘仏として知られる。顔立ちや着衣の写実的な表現などから、運慶・快慶に続く世代の京都周辺の仏師の作とみられる。
損傷の有無や内部構造を確認するため昨年末、同館が調査したところ、像内の首の部分で高さ約5センチ、幅約2センチの五輪塔が確認された。さらにこの塔内部には、舎利(釈迦や聖者の遺骨)を表現した直径1~3ミリの粒が約20個納められていることもわかった。
五輪塔は球体や四角柱、円柱状の部材を重ねたものだが、今回確認された塔は八角柱を主体とする独自の造形だ。同館の大澤信・研究員は「仏教で8は完全な数字とされる。制作や寺への伝来の背景を探る上で貴重な発見だ」と話している。
菩薩遊戯坐像は2月8日~3月21日に同館、4月12日~5月22日に京都国立博物館で開かれる特別展「最澄と天台宗のすべて」で公開される。
(2022年2月1日付 読売新聞朝刊より)
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