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出演者がそろってのフィナーレ(写真はいずれも国立劇場提供)

2023.9.7

国立6劇場養成 100人超が競演 ― 歌舞伎、オペラ、組踊など特別公演

国立の6劇場の研修を経て各芸能のプロになった100人以上が出演する特別公演「舞台芸術のあしたへ」が〔2023年〕8月20日、国立劇場(東京都千代田区)で昼夜2回、開催された。

国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場、新国立劇場、国立劇場おきなわを運営する「日本芸術文化振興会」(芸文振)の主催。芸文振は歌舞伎、文楽、能楽など日本の伝統芸能9分野とバレエ、オペラ、現代演劇の担い手の養成を各劇場を拠点に行っており、今回、国立劇場が10月末で閉場するのを機に、全分野による競演を初めて企画した。

太神楽曲芸と寄席囃子

歌舞伎「二人三番叟さんばそう」で幕を開け、朗読劇、能楽(能と狂言)、太神楽曲芸と寄席囃子ばやし、沖縄の組踊、バレエ、文楽、オペラ、そして再び歌舞伎「元禄花見おどり」の順に、約10分ずつ上演した。舞台に姿を見せない裏方の寄席囃子の演奏者が太神楽曲芸の動きを確認しながら曲の長さを調整する様子や、花道を通って本舞台に上がるオペラ歌手など、珍しい演出が楽しめた。

オペラ「椿姫」より第1幕「乾杯の歌」

上演中は英語字幕を表示し、客席には多くの外国人客の姿が見られ、時には「ブラボー!」のかけ声も出た。フィナーレは二つの花道から総勢100人を超える出演者たちが再登場し、観客の拍手に応えていた。日本が誇る舞台芸術の担い手の幅広さ、層の厚さを改めて印象づける公演になったようだ。

(2023年9月3日付 読売新聞朝刊より)

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