「皇室の美と沖縄ゆかりの品々」展が〔2023年2月〕19日まで、沖縄県立博物館・美術館(那覇市)で開かれている。宮内庁三の丸尚蔵館が所蔵する絵画や工芸品など43点を展示。中でも沖縄工芸の粋を集めた漆器は、琉球王国時代から現代にいたる変遷をたどることができる。
旧桂宮家に伝えられた「琉球塗料紙箱・硯箱」(17世紀)=写真、宮内庁三の丸尚蔵館提供=は、油や顔料などを混ぜた白密陀の下地に、金箔や漆で中国の山水風景などをあしらう。同博物館・美術館の伊礼拓郎学芸員は「人物の顔の描き方に特徴があり、王国時代に漆器製作を担った貝摺奉行所の絵師が手がけた可能性がある」と指摘する。
最後の琉球国王・尚泰の孫である侯爵尚昌が献上したテーブル「螺鈿卓」(1921年)には、夜光貝による菊や蝶の文様が、明治以降の新しいスタイルで表現されている。2001年に廃業した漆器メーカー「紅房」が昭和戦前から戦後にかけて手がけた貴重な大皿や茶入れも展示されている。
(2023年2月11日付 読売新聞朝刊より)
◆皇室の美と沖縄ゆかりの品々
【会期】1月20日(金)~2月19日(日)
【会場】沖縄県立博物館・美術館(那覇市おもろまち)
【主催】沖縄県立博物館・美術館、沖縄美ら島財団、宮内庁、文化庁
【特別協力】紡ぐプロジェクト、読売新聞社
【問い合わせ】098・941・8200