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2023.3.13

【ポケモン×工芸展作品紹介 6】 アダン 島巡る冒険演出

企画展「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」が〔2023年3月〕21日、金沢市の国立工芸館で開幕する。陶磁、金工、ガラスなど工芸の各分野で活躍する作家20人がポケモンをモチーフに作品づくりに挑み、完成させた約70点を展示する。作家の横顔や作品の特徴、駆使した技巧などを紹介する。

 

◇染織◇ 城間栄市さん (45)

(那覇市)

パイナップルに似た実をつけるアダンの木の隙間から、沖縄らしい白い砂浜が見えるとワクワクする。「釣りや素潜りで海に向かう高揚感を、ポケモンとの冒険に重ねました」。楽しげに遊ぶポケモンとアダンの葉の図柄を沖縄伝統の技法・紅型びんがたで着物に染め上げた。

図柄にはポケモンゲームの舞台で、島々からなる温暖なアローラ地方をモチーフにした。島々を渡ってポケモンを探す冒険に、風が吹き抜けていくイメージがわき、揺れるアダンで表現した。

着物を画面と捉えて大胆に余白を残した。海の生き物などをテーマにした文様で小さな世界を作り込む自身の作風とはまったく異なる。「これまでは空間が怖かったけれど、そぎ落とすのも面白い経験でした」

城間栄市<琉球紅型着物「島ツナギ」>
2022年 個人蔵 
撮影・斎城卓

色合いを再現するため、オドリドリの白っぽいピンクや、モクローの薄茶色といった紅型ではまず使わない色を顔料の調合で作り出した。仕上げ後も筆で細かく色を差した。型紙は3枚制作し、染め上げるのに約3か月を要した。

古来の技法を踏まえながらも柔軟な表現スタイルは、ジャワ島のろうけつ染め「バティック」の工房で2年間修業した影響が大きい。沖縄戦で壊滅的被害を受けた紅型の復興に尽力した城間栄喜さんを祖父に持ち、「変えちゃいけない」伝統に重苦しさも感じていた。しかし、植物やギターなど身近なものを題材にするインドネシアの職人の自由さに触れ、視界が開けた。

出品作品<島ツナギ>は、島々を渡る冒険のイメージから名付けた。紅型も東南アジアや中国など島をつないで沖縄に渡ってきた。「私も紅型の技を後輩や子どもたちにつないでいく」。冒険の風はアダンを揺らし、多くのものをつなぎながら吹き抜けていく。

▽会期 〔2023年〕3月21日~6月11日。休館は月曜(5月1日は開館)、5月14日。問い合わせはハローダイヤル050・5541・8600。
▽主催 国立工芸館、NHKエンタープライズ中部、読売新聞北陸支社
▽特別協力 株式会社ポケモン
▽制作協力 NHKプロモーション
© 2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

(2023年3月12日付 読売新聞朝刊より)

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