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2023.3.22

伝統の技と融合 ―「ポケモン×工芸展」

※「ポケモン×工芸展」は3月21日に開幕しました。

工芸作家が「ポケモン」を表現する「ポケモン×工芸展―美とわざの大発見―」が〔2023年3月〕21日、国立工芸館で開幕する。工芸館の唐沢昌宏館長に見どころを聞いた。

表現の限界 作家挑戦

工芸とポケモンを融合させるという新たな試みに、ポケモンに親しんできた若い世代から人間国宝まで、幅広い作り手が参加してくれた。

工芸というと、器のイメージがあるかもしれないが、企画展では器に限らず、立体物や着物など、様々な素材や技法から生み出された出品作を展示している。

桝本佳子〈キャモメ/染付皿〉〈タマンタ/染付皿〉〈ポッチャマ/染付皿〉
水橋さおり〈友禅訪問着「群」〉

作家たちは、ポケモンというお題を前に持てる技術を突き詰め、どこまで表現できるのか挑戦した。これまでの創作での蓄積を生かした新しい世界を作り出し、驚くことも多かった。

自らの技法に落とし込めるポケモンを探す人もいれば、陶器〈フシギバナ〉を手がけた今井完真さんのように、一見するとできそうもない複雑な造形にあえて挑む作家もいた。こちらの依頼を受けた段階では、「どこまでできるんだろう」と半信半疑だったと思うが、完成にこぎ着け、作り手もすごく自信がついたのではないか。

タイプとわざがポケモンで重要なように、工芸では素材を生かしながら技法を凝らす。同じ伝説のポケモン・ホウオウを題材にしていても、彫金の技を駆使した人間国宝・桂盛仁さんの〈香合 ホウオウ〉と、木象嵌もくぞうがんを応用した福田亨さんの木工作品〈飛昇〉では仕上がりはまったく異なる。

田口義明〈蒔絵棗「春を呼ぶ」〉
葉山有樹〈森羅万象ポケモン壷〉

ポケモンに親しんでいるのは、工芸館の普段の来場者より低年齢層が中心だ。工芸に詳しくなくても、まずは、ポケモンを楽しみに来てほしい。来場をきっかけに工芸の世界に興味を持ってもらえればこっちのもの。作品を通してその奥にある工芸のすごさ、幅広さを来場者に伝えられる。

作品 若手から人間国宝まで

国立工芸館は、東京国立近代美術館工芸館が金沢に移転し、2020年に開館した。建物は、明治期に建てられた旧陸軍第9師団司令部庁舎と金沢偕行社かいこうしゃを移築して活用。名誉館長は、元サッカー日本代表の中田英寿さんが務めている。

旧工芸館が所蔵していた陶磁やガラス、漆工などのコレクションの大半が国立工芸館に移設された。開館以来、国立の美術館として、新進気鋭の若手作家から人間国宝まで石川県にとどまらない全国の作家の工芸品や、海外の作り手の作品を展示・紹介している。

【アクセス】JR金沢駅東口から北鉄バスで「広坂・21世紀美術館」で下車して徒歩7~9分。車では北陸自動車道金沢西インターチェンジ(IC)または森本ICから20~30分。

▽会場 国立工芸館(金沢市)
▽会期 〔2023年3月〕21日~6月11日。休館は月曜(5月1日は開館)、5月14日。問い合わせはハローダイヤル050・5541・8600。
▽主催 国立工芸館、NHKエンタープライズ中部、読売新聞北陸支社
▽特別協力 株式会社ポケモン
▽制作協力 NHKプロモーション
© 2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.

(2023年3月21日付 読売新聞朝刊より)

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