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2023.7.27

国立6劇場修了生競演 ― 歌舞伎や文楽、バレエなど

特別公演「舞台芸術のあしたへ」

「二人三番叟」を稽古する歌舞伎俳優の(左から)市川新十郎さんと中村又之助さん

歌舞伎、文楽、バレエ、オペラなど、国立の劇場での実演家研修を修了したプロ100人以上が競演する特別公演「舞台芸術のあしたへ」が〔2023年〕8月20日、国立劇場(東京都千代田区)で開催される。同劇場が今年10月に建て替えのため閉場するのを前に今回、初めて企画された。

「日本芸術文化振興会」(芸文振)の主催。構成・演出を担う大和田文雄理事(67)は「各芸能を『つなぐ』ことを意識して、(歌舞伎で使われる)回り舞台を活用して転換もスムーズにする。明治以降も含めた日本の舞台芸術の歴史を網羅して見られる公演にしたい」と話す。

芸文振は、国立劇場6館(国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場、新国立劇場、国立劇場おきなわ)を運営する独立行政法人。日本の伝統芸能9分野と、バレエ、オペラ、現代演劇の担い手の養成研修事業を行っている。

特に、伝統芸能では現在、研修修了者が歌舞伎俳優全体の3割強、文楽技芸員の6割弱を占め、後継者不足に悩む現場を支えている。歌舞伎音楽「竹本」からは竹本葵太夫さん(62)が研修出身者として初の人間国宝にも認定されている。

プログラムは歌舞伎「二人三番叟さんばそう」で幕が開き、朗読劇、能楽(能と狂言)、太神楽曲芸と寄席囃子ばやし、沖縄の組踊くみおどり、バレエ、文楽、オペラ、再び歌舞伎の順に約10分ずつ上演。出演者全員によるフィナーレもある。

「二人三番叟」には、歌舞伎俳優研修の第8期修了生の中村又之助さん(59)、第10期の市川新十郎さん(53)が出演する。又之助さんは「後に様々な芸能の方々が控えていてプレッシャーですが、躍動感のある舞台を勤めたい」、新十郎さんは「研修で毎日通った愛着のある劇場で(閉場前に)舞い納める機会をもらえてありがたい」と語る。

上演中は英語字幕を表示し、外国人観光客にも広くPRしたいという。午後2時、同6時の2回公演。問い合わせは国立劇場チケットセンター(0570・07・9900)へ。

(2023年7月25日付 読売新聞夕刊より)

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