1992年に国の伝統的工芸品に指定された笠間焼は、自由で多彩な作風から「特徴のないのが特徴」と言われる。ただ、その歴史は250年と長く、江戸時代・安永年間(1772-81年)に笠間藩箱田村の名主・久野半右衛門が、信楽焼の陶工に出会い、窯を開いたことに始まる。
大消費地・江戸に近く、きめの細かい良質の粘土はろくろ向きで、
その発祥の地である笠間市箱田の窯元「久野陶園」が今、存続の危機にある。江戸期の基盤に構築されたという本焼き用の
久野陶園を後世に残そうと、伊藤さんと友人の芸術家らが2020年12月、「久野陶園をやっていく会」を結成。今年2月から約2か月間、建物修理やスペース創設の費用をクラウドファンディングで募り、目標額約1000万円を集めた。今後、倉庫をギャラリーと貸しスペースに改良する予定だ。
同会を運営する彫刻家の佐々倉文さん(48)は、「まず笠間焼の発祥地・久野陶園を多くの人に知ってほしい。笠間焼をやりたい人が誰でも出入りできる開けた場所になれば」と、未来を見据える。
伝統工芸産業の国内市場が低迷する現代、笠間焼は海外市場に目を向けている。笠間焼協同組合によると、18、19年と英国で選定作家の作品を販売した。20年には笠間焼海外販路開拓協議会が発足し、ロンドンで販売展示会も開催してきた。日本酒ブームで酒器などの人気が高いという。
英国での人気の理由について、同組合海外販路担当の
最近は英国のデザイナーらとのコラボ作品や、海外向け電子商取引サイト(ECサイト)も展開。「KASAMA」ブランドは着実に広がり始めている。
(読売新聞東京本社文化部 井上晋治)
(2022年12月28日付 読売新聞朝刊より)
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