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2022.10.24

【皇室と日本美(中)】小さな菓子箱 精巧細工(一関市博物館学芸係長・大衡彩織)

企画展「皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手」

ボンボニエール
昭和時代
宮内庁三の丸尚蔵館蔵

これらは、手のひらにのるほどの小さな箱。フランス語で菓子入れを意味する「ボンボニエール」と呼ばれます。皇室では、御慶事ごけいじに際してさまざまなデザインのボンボニエールが製作され、饗宴きょうえんの出席者へ引き出物として配られました。

小さな子どものためのおもちゃ「でんでん太鼓」を模しているのは、1935年(昭和10年)、正仁まさひと親王(常陸宮殿下)御誕生御内宴の際の品です。

ボンボニエールの材質は大半が銀製ですが、木製、陶磁器製などもあります。写真の中段左側は竹製で、蒔絵まきえが施されています。いずれの品も、その細工の精巧さに目を見張らずにはいられません。

中に五色の金平糖が入れられたボンボニエール。贈られた人たちは、笑みを浮かべながら、そっと蓋を開けたことでしょう。

(一関市博物館学芸係長・大衡おおひら彩織)

企画展「皇室と日本美―宮内庁三の丸尚蔵館収蔵品と岩手」は一関市博物館 (一関市厳美町)で2022年11月27日まで開催中。問い合わせは同館(0191・29・3180)へ。

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