3月16日深夜、宮城、福島両県で震度6強を観測した地震は、城郭にも被害を及ぼした。
文化庁によると、仙台市の仙台城跡では、本丸北西石垣が幅16メートルにわたり崩落したほか、酉門石垣も幅12メートルにわたり崩落。城内のほかの石垣にもゆがみが生じているところもあるという。
宮城県白石市の白石城も天守閣の壁の剥離や瓦の落下などが確認された。昨年2月にも震度6強の地震で天守閣や城門を損傷し、今年2月から修復作業が始まったばかりだった。
地震被害 修復ノウハウ蓄積
近年は、地震災害に見舞われる城郭が各地で相次いだ。2016年の熊本地震で被災した熊本城は崩れた石垣や重要文化財の櫓などの工事が本格化している。大天守(地上6階、地下1階)と小天守(地上4階、地下1階)からなる天守閣は「復興のシンボル」として復旧され、昨年6月に一般公開が再開した。
11年の東日本大震災では福島県白河市の小峰城跡で石垣が計10か所崩落。約7000個の築石が落ちた。崩れた石のデータを詳細に記録した「石材カルテ」をもとに、19年3月に積み直しが完了。丸亀城や熊本城など他の城の復旧のモデルケースになった。
天守の位置を移動させる「曳屋」で注目された青森県弘前市の弘前城も耐震補強の計画が進められている。
文化庁は昨年度から、城郭の石垣の耐震性を判断する指針作りに乗り出した。崩落の危険性のある石垣を察知する方法や、被害防止に向けた具体的な対処方針などをまとめる。災害による受難は続くが、各地の修復で蓄積されたノウハウが、城を未来に残す貴重な財産にもなっている。
(読売新聞文化部・多可政史)
国宝・姫路城では平成の大修理が行われた
(2022年4月3日付 読売新聞朝刊より)