聖徳太子の1400年遠忌を記念した特別展「聖徳太子と法隆寺」(奈良国立博物館、法隆寺、読売新聞社など主催)の内覧会が26日、奈良市の奈良国立博物館で開かれた。新型コロナウイルスの影響で開会式は実施せず、招待客ら約430人が、法隆寺(奈良県斑鳩町)が守り伝えてきた宝物などに見入った。一般公開は27日~6月20日。
内覧会に先立ち、法隆寺の古谷正覚管長(72)ら僧侶8人が、法隆寺聖霊院の秘仏本尊「聖徳太子坐像」(国宝、平安時代)の前で読経し、会期中の無事を祈願した。古谷管長は「太子の教えや心がたくさんの人に伝わる機会になってほしい」と話した。
会場には、国宝36件、重要文化財75件を含む計174件が並ぶ。法隆寺の金銅仏「薬師如来坐像」(国宝、飛鳥時代)は光背に寺創建の由来が刻まれており、神秘的な表情が特徴的。聖徳太子を描いた最古の肖像画「聖徳太子二王子像」(御物、奈良時代)や太子の一生を描いた「聖徳太子絵伝」(国宝、平安時代)なども目を引く。
井上洋一館長は「コロナ禍ではあるが、素晴らしい作品の展示が実現した」と話した。
内覧会を訪れた千本英史・奈良女子大名誉教授(66)は「聖徳太子坐像」に見入り、「表情がずいぶんと生々しく、写実的で驚いた」と話した。斑鳩町の自営業、朝日忠敬さん(70)は、10年に1度の聖霊会の大会式で用いられる「聖皇御輿」(室町時代)に注目。「地元になじみがあるが、ここまでじっくり見たのは初めて」と感激した様子だった。
会期中に展示の入れ替えがある。月曜休館(5月3日開館)。午前9時半~午後5時(土曜は午後7時まで、入館は閉館30分前まで)。チケットは事前予約優先制で、当日券は若干数を用意。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)。
2021年4月27日読売新聞奈良県版より
0%