展覧会「日本のたてもの」展で30件以上が展示される建築模型の魅力について、建築が専門の山崎幹泰・金沢工業大学教授に聞いた。
近代以降、海外の博覧会で日本の建築文化を伝えるため、建築見本や技術の実習など教育のために、建築模型は作られてきた。古建築の修理・造り替えの際に記録保存などの目的で作られることもあった。
「日本のたてもの」の中心となるのは、文化財を後世に残すことを目的とした模型。1964年の東京オリンピックでも、芸術展示の一つとして東京国立博物館で開かれた「日本古美術展」で古建築10体が展示され、外国人観光客に好評だったという。
部材の形式から仕口まで、実物の建物と同じように組み上げられ、ふだんは見えない天井裏や塔の内部まで実物通りに作られている模型は、実際の建物に匹敵するような存在感がある。
離れた場所にある複数の建造物を直接比較できるのも模型ならでは。古代から現代までの日本建築の流れを一覧できる機会に、日本建築をじっくりと見てほしい。(談)
(2020年12月6日読売新聞より掲載)
0%