2019.10.18
ラグビーワールドカップで史上初のベスト8入りを果たし、10月20日に準々決勝を戦う日本代表。選手たちが着る、胸に桜のエンブレムの付いたジャージには、実は日本文化のエッセンスがたくさん盛り込まれている。先端技術や素材で作られたジャージに、日本の伝統文化から込められた思いとは――。
日本代表のジャージは、ラグビーの強豪国・ニュージーランド生まれのブランド「CANTERBURY(カンタベリー)」のもの。国内では、スポーツウェアを手がける「ゴールドウイン」のグループ会社「カンタベリーオブニュージーランドジャパン」が、1997年に日本ラグビーフットボール協会と契約を結んで以来、開発から製造まで一貫して行っている。
ラグビー日本代表のジャージといえば、まず思い浮かべるのが、赤と白、日の丸カラーのストライプだ。今大会のジャージでは、その生地に、伝統的な
左袖にある日の丸のあたりには、正六角形の幾何学的な「麻の葉文様」が見える。江戸時代には葛飾北斎や歌川豊国の浮世絵にも描かれた人気の柄で、「麻の葉のようにすくすくと育つ」などの願いが込められているという。
波が連なるような「
このほか、長寿の象徴、亀の甲羅の形の「亀甲文様」、菱形を四つに等分し、品格のある「
開発担当の石塚正行事業部長は、「実は8種類もの柄を描いているんですよ」と教えてくれた。残り二つは、いずれもエンブレムにもある桜の花のデザインで、「
赤と白のストライプも、世界で勝つために“進化”させた。前面はアルファベットの「V」のようなデザインで、コンセプトの「
「武士道では、義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義という七つの徳が挙げられますが、これはラグビー憲章の言葉『品位・尊重・規律・情熱・結束』に通じるものがあると考えています。これを持たなければラグビーをする資格がない、ジャージを着る資格がない。そんな日本人の持つスピリットを兜のデザインに込めています。武士道精神を鼓舞するようなジャージで、勝利をバックアップしたい」(石塚さん)
ストライプは、前面では「V」のような形で体をより大きく見せ、背中側は富士山のような山形を描くことで、後方から追う相手にスピード感、速さを感じさせる「錯視効果」も狙っているそうだ。
ポジション別に、生地や型紙の異なる3種類のジャージを開発するなど、徹底したものづくりで、より着心地良く、プレーしやすい「史上最強の日本代表ジャージ」が完成したという。快進撃とともに、今年7月に発売したレプリカジャージの人気も一気に高まり、同社では前回大会の20倍ほどにあたる約20万枚の販売を予定している。
「次は史上初の決勝進出、トップを目指して戦ってくれると信じています。ワールドカップを通じて、ラグビーというスポーツのスピリット、すばらしさ、魅力をたくさん感じてください」と石塚さんは話している。
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