岐阜出身の洋画家、山本芳翠(1850~1906年)の足跡を皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)の収蔵品などでたどる展覧会「PARALLEL MODE:山本芳翠―多彩なるヴィジュアル・イメージ―」が岐阜県美術館で〔2024年〕12月8日まで開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。
山本芳翠は、約10年に及ぶフランスでの滞在に区切りをつけて、1887年(明治20年)に帰国する。欧化政策一辺倒だった日本も様変わりし、国粋主義的な風潮の中で、国内の洋画家たちは活躍の場を奪われて厳しい状況にあった。
山本はフランスでの活躍を知る政府高官たちの援助もあって、帰国数か月後には、伊藤博文首相らによる九州・沖縄方面巡視に随行。各地の風景や風俗、人々を記録画として連作し、89年までに全20点を3度に分けて、明治天皇へ献上した。
本展では、皇居三の丸尚蔵館が収蔵する記録画のうち6点とともに、後年下賜された「琉球令正婦人肖像」や、所在不明だった「無人島から沖縄をのぞむ図」など、関連作品を併せて展示している。(岐阜県美術館学芸員 廣江泰孝)
岐阜県美術館(☎ 058・271・1313)
(2024年11月29日付 読売新聞朝刊より)
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