日本美を守り伝える「紡ぐプロジェクト」公式サイト

2025.2.12

【皇室の名宝と新潟・上】 独特な雪の表現 幻想的 ― 国宝「動植綵絵どうしょくさいえ」のうち「老松鸚鵡図ろうしょうおうむず」「雪中錦鶏図せっちゅうきんけいず」伊藤若冲じゃくちゅう(県立近代美術館主任学芸員・飯島沙耶子)

皇居三の丸尚蔵館(東京都千代田区)収蔵の名品や県ゆかりの美術工芸品を紹介する展覧会「皇室の名宝と新潟 ―皇居三の丸尚蔵館収蔵品でたどる日本の技と美」が長岡市の県立近代美術館で開かれている。見どころの作品を3回にわたり紹介する。

国宝
「動植綵絵 老松鸚鵡図」
伊藤若冲
江戸時代(18世紀)
皇居三の丸尚蔵館収蔵
国宝
「動植綵絵 雪中錦鶏図」
伊藤若冲
江戸時代(18世紀)
皇居三の丸尚蔵館収蔵

江戸時代の奇想の画家として知られる伊藤若冲。代表作である「動植綵絵」全30幅には、様々な動植物のきらめく命が、細密な筆遣いと鮮やかな色彩で描き出されている。若冲は、自身が描いた「釈迦三尊像」を荘厳する絵として、本作を京都・相国寺に寄進した。そして、明治時代に入り、相国寺から皇室に献上された。

本展では、白いオウムと鮮やかなインコの姿を描いた「老松鸚鵡図」と「雪中錦鶏図」の2幅を紹介している。後者は、アメーバを思わせるような雪の表現が目を引く。画面の表だけでなく、裏からも白い絵の具を塗ることで、雪景色に豊かな変化がもたらされ、奥行きの感じられる幻想的な空間が作り出されている。(県立近代美術館主任学芸員 飯島沙耶子)

〔2025年〕3月16日まで。県立近代美術館(0258・28・4111)。

(2025年2月11日付 読売新聞朝刊より)

Share

0%

関連記事