2023.10.27
企画展「皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展」
皇室に伝わる明治から現代の陶磁器を中心に、茨城とゆかりの深い作家の作品も紹介する企画展「皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展」が、〔茨城〕県陶芸美術館(笠間市笠間)で開かれている。見どころを3回にわたり紹介する。
初代宮川香山
明治10年(1877年)
本作は明治期に横浜で活躍し、帝室技芸員に任命された宮川香山の代表作である。
香山の技法は「高浮彫」とよばれる、花瓶などの器面に立体的な動植物の細工を貼り付けるものだが、ここでは磁器土によって竹細工の虫かごがあしらわれており、その隙間を縫うように葡萄の葉が配され、生き生きとした蛙の姿を見つけることができる。器面には葡萄の蔓の上に大名行列に扮したバッタやカマキリなど昆虫の練り歩く姿が絵付によって巧みに描き出され、立体と絵画が見事な融合を見せている。
明治10年(1877年)の第1回内国勧業博覧会における宮内省による買い上げ作品で、竹を模して作られた陶製の台座も、製作当初のものがそのまま伝わる点で貴重である。
(県陶芸美術館主任学芸員 飯田将吾)
◇ ◇ ◇
〔2023年〕12月10日まで。県陶芸美術館(0296・70・0011)。
(2023年10月27日付 読売新聞朝刊より)
◇ 皇室と近代の陶磁 三の丸尚蔵館名品展
【会期】9月16日(土)~12月10日(日)月曜休館。11月13日は開館
【会場】茨城県陶芸美術館(茨城県笠間市)
【主催】茨城県陶芸美術館、宮内庁
【特別協力】文化庁、紡ぐプロジェクト、読売新聞社
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