昭和3年11月の昭和天皇即位を祝す御大典礼に合わせて、沖縄県から献上された衝立である。
制作は沖縄県工業指導所のもと名工で知られた友寄英茂が中心となり、日本画の巨匠、比嘉華山が原画を、宮大工の玉城サンルーが木地を、友寄の弟子の亀島汝翼らが加飾を担った。
琉球漆芸の特色の一つである堆錦は、彩漆の塊を薄く延ばして文様の形に切り、貼りつける技法だが、この衝立の堆錦は立体的で、所々に彩色も施した入念なものである。とりわけ中山門の左右に描かれる椰子やリュウゼツラン、ガジュマル、デイゴなどの植物の生き生きとした表現は見事で、作者たちの並々ならぬ気迫が伝わってくる。
ぜひ会場で、この強烈な存在感を放つ作品をじっくりご覧いただきたい。
(九州国立博物館企画課特別展室長・川畑憲子)
沖縄復帰50年記念 特別展「琉球」(読売新聞社など主催)は、太宰府市石坂の九州国立博物館で9月4日まで開催中。問い合わせはハローダイヤル(050・5542・8600)へ。
出品リストやチケット情報は公式サイトでチェック! https://tsumugu.yomiuri.co.jp/ryukyu2022/
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