皇室に代々受け継がれた美術工芸品を通して、秋田と皇室のつながりに触れる特別展「皇室の名宝と秋田―三の丸尚蔵館 収蔵品展」が、〔秋田〕県立近代美術館(横手市赤坂)で開かれている。見どころを3回にわたり紹介する。
並河靖之
1899年
本作を制作した並河靖之は、優れた有線七宝の技術により国内外の展覧会で受賞を重ね、後に帝室技芸員に任命された京都を代表する作家です。
有線七宝は、下絵の輪郭に細い金属を立て、その間に粉末状のガラス質の
本作では、透明感のある深い黒色を背景に、桜やモミジの木々、そしてその周りには四季折々の植物や小鳥が情緒豊かに表現されています。
多くの優品を残した並河ですが、なかでも、明治天皇の御下命を受けた宮内省の依頼で制作し、1900年(明治33年)のパリ万国博覧会に出品された本作は、彼の最高傑作となりました。
(〔秋田〕県立近代美術館学芸主事・保泉充)
特別展「皇室の名宝と秋田-三の丸尚蔵館 収蔵品展」は、秋田県立近代美術館 (横手市赤坂) で2023年9月3日(日)まで開催中。8月3日、4日は休み。問い合わせは同館(0182・33・8855)まで。
(2023年8月3日付 読売新聞朝刊より)
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